「死ぬまでここから出られないかもしれない。」カッコーの巣の上から飛び立てて得た最大のギフト
改めまして初めまして、Maco Muffin (マコマフィン)です。
お察しのいい方はピンとくるかも。
精神病院を舞台にした作品「カッコーの巣の上で」の主人公、McMurphy(マクマーフィー)のパロディです。
精神病院に入院したことありますか?
仮にあなたが頭も心も身体も人並みに健全で、会社のビルとか爆破したり学校で銃を乱射したりブラック社長を刺したりしたことが一回もない、善良とまではいかないけれども、世紀の大悪党では多分ないだろうと自認していたとしましょう。
さらに、不満は沢山あるけども、死ぬよりはまだ生きてた方がマシかなぁと思いながら、一人または二人以上で夜中にコンビニで買ってきたポテチとビールを喰らいつつ、明日休みだしちょっと位夜更かししても大丈夫…オリンピックてどのチャンネル?あー何かもう眠くなってきたし…みたいな暮らしを送っているとしましょう。あなたはそのまま眠ってしまいました。
目が覚めたらあれ?身体が動きません。頭がぼんやりします、天井がぐるぐる回っています。インフルエンザでした。
しかし身体が動かないのは熱のせいではありません。
床にじか置きの薄いマットレスに、手首・足首・そして腰をベルトでしっかり固定されています。
腕には点滴が繋がれています。
おしりがもぞもぞします。
どうやらオムツをされているようです。
何とか起きようと頑張ってもベルトは強固で決して外れません。
そもそもこの部屋はどこなんだ?
冷静になって辺りを見回してみました。
10畳程の広さ、バカ高い天井、ドアのないむき出しのトイレ、仕切りを挟んで扉があります。学校の音楽室にあった、規則的に小さな孔が一面に並ぶ防音壁とよく似た壁が四方と天井を覆っています。
窓と言えばドアノブのない扉にある正方形のものと、トイレについている小さな覗き窓とのふたつだけ。
天井の角から監視カメラがあなたの動きをしっかり捕らえています。
あとはもう何もありません。
ニュースで見たことがある、有名人が収監されたちょっと小綺麗な独房とそっくりだとあなたは思いました。
いやいや、インフルエンザで何でこんなに大変な事になってんの。
あなたは精神病院の隔離病棟に入れられたのです。
あなたは誰でも感染する恐れのあるありふれたインフルエンザにかかり、社会にとって扱いづらい有害な危険因子としてこの独房に縛られているのです。
「保護」の名のもとに大量の投薬で昏睡させられ拘束され、呂律も回らずよだれをたらし、例え拘束を外されても暫くはけんけんがくがくでまともに歩けません。
これは集団部屋に入る前の一種の洗礼のようなもので、隔離室には数日から数週間入れられます。
集団部屋に入ってからも、悪いことをしたら“おしおき”として再び入らなければなりません。
朝昼晩のご飯をナース達が運んでくれる以外、人と会うことは一切ありません。テレビはもちろん本もないので、絶望的に孤独です。
精神疾患はインフルエンザのように、誰でも陥るリスクがあります。
年々増え続ける診断名の是非はまた別の機会に話すとして、このブログではメンタルヘルスに関連した私の実体験をベースに、夢日記や日常の記録を交えながら情報を皆さんと共有することが目的です。
精神病院はその時代やその病院によって雰囲気も方針も全く違うようですが、あまたある一例として参考程度に読んで頂けたらと思います。
マクマーフィーが自分は一生この病院から出られないかもしれないと知り、愕然とするプールのシーン。
「死ぬまでここから出られないかもしれない。」
あの絶望的な恐ろしさは二度と味わいたくありません。
私は今、理解ある人々に出会い、音通不振にしてしまった友達達との交流も再開し、人の理解とぬくもりがこれほど心をほぐしてくれるかと驚いています。
しんどい事や悲しい事や死にたい気持ちもローテーションで来るけれど、ひとりきりで抱えこんでいた時よりずっとマシです。
記憶と感情の棚卸しをすることは、私にとってのリハビリでもあります。
夜中のコンビニでポテトチップスを買える自由に感謝しつつ(めったにないけど)。
楽しいことしましょう。
Maco Muffin
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No.3534 2014年7月24日(木)放送
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