カウンセリングの扉を叩く 

同じ身長で、一番痩せた時と一番太った時の体重差が17キロ。


20代は一ヶ月の間で5~6キロ痩せたり太ったりを繰り返していました。


当時の日課として、食べたもの飲んだものを食事した時刻と共に一口残らずノートに記録します。目覚めから寝るまで丸一日です。もちろん起床・就寝時間も書き留めます。


そして翌朝、隣のページに体重と体脂肪、むくみの有無、肌の調子(何色のニキビがどの位置にできたとかキメがどうかとか、手荒れがあったとか青アザが出たとか)、加えて目覚めた時頭はスッキリしていたかぼーっとしていたかなどを書き込みます。月経時は経血の色や状態も書き留めます。


それから昨日もしくは昨日以前に翻って、飲み食べしたものとその日の肌や気分、頭のクリアさ加減との関連性を見ていきます。


2年半続けました。


自然に食欲がなくなる時(砂糖不使用の寒天なら食べれた)、太るものは食べちゃ駄目だと必死に我慢する時、一気に5~6人前を食べ尽くす時。ある一定の食べ物や調味料、食べ方だけを受け付けなくなる時。

食欲の質と量が目まぐるしく表情を変え現れては消えるを繰り返しますが、根底は同じ。

“自分は醜いし社会でうまく生きていけない愛されない怠け者だ。”

容姿と社会力のなさという強力なコンプレックスを、厳格な自己管理に没頭する事で必死に埋めようとしていたのです。


鏡と毎日睨めっこしていると、食べることがどんどん怖くなっていきます。何を食べたらどう醜くなるのかを四六時中考えているのですから。


この顔、この肌、この身体ではもう誰とも会えないと全ての音通を断ったことで、もともと自信の無かった容姿の問題がより濃縮される道を選ぶことになりました。


私は無理やり吐かないし(過食の後の自然嘔吐は何回かありましたが)、標準体重以下まで痩せたいとも思わない。


今の私を摂食障害と呼ぶには大げさだし、もっと酷い状態のことを言うんだろう。



ただ、食費でお金がどんどん消えることや、過食が酷い時は肌が荒れるだけでなく尿や便まで漏らすことが起きてきて、何とかしないとという危機感はありました。


過食をやめたい。

10年近い歳月を一人で食欲と闘ってきたけど、もう限界じゃないか?


投薬も精神病院も懲りていたので(入院理由は過食とは別の症状です)、ご夫婦で経営されているカウンセリングルームをネットで見つけて予約しました。


一人きりで抱え込んでいた暗闇を開き、世界に助けを求めること。


凍結された記憶と時間が、息を吹き返す瞬間です。