オルトレキシアの夢 1

教室。
休み時間か?

生徒たちは机に腰かけたりだらしなく椅子にもたれかかったりしながら、それぞれが好きな場所で好きな友達と和やかに話している。

制服は着てなかったと思うけど、多分中学から高校生あたりだろう。

私は一番後ろの一番右隅の席らへんを囲む仲間達の輪の中で笑っていた。

たわいもない、記憶に残らない話し。

“ばったん…”

鈍い重低音が背後と足裏に突然響いた。

振り返るとガリガリに痩せ細った少女が一人、倒れている。

小学生にも高校生にも見えるその小さな女の子は、ぐるりと回りに立ち尽くし、驚き惑う生徒達の騒々しさにも目が覚めない。

私はその子に駆け寄り、抱き上げる。

軽石のように軽い。朦朧としていて届かないかもしれないが、声をかける。

「大江さん、行こう」

小学時代のエキセントリックな生徒会長男子の名前だ。(何の思い入れもない)

私は駆け出した。